受験本番でしか力を出せなかった息子のお話
息子曰く、
「これで落ちたら泣くよ。だって人生で一番よくできた試験だったから。」
これは、息子が第一志望校である国立大学医学部の一次試験を受け終えた直後の言葉です。
そのときは深くは聞きませんでしたが、後日聞いたところでは、小学生から大学受験までの間で、入試本番だけでなく模試も含めて最もできたというのです。
「できた」というのは試験が簡単だったとか、高得点が取れたということを意味するのではなく、その時点の自分の力を最高に出せた、ということのようです。
自分でも信じられないぐらいの達成感があったようです。
要するにベストパフォーマンスだったということですね。
そんなことが起こりうるんだなあ、と思いました。
本番に弱いと思い込んでいた息子にそんな日が来るとは思いもしませんでした。
中学受験のときは、第一志望校の受験直前に体調を崩し、受験のために中学に行くのもやっとのことでした。
もちろん不合格です。
不合格が問題なんではなく、自分の力を出しきることができない息子にせつなくて悲しい思いをしたものです。
息子には期待をしない方がいいな。
そう思ったものです。
悲しくても現実は受けとめる必要があります。
そんな息子がここまで成長したんだ…
そう思うと、その一瞬は合否はどうでもいいとさえ思ってしまいました。
思わず息子を抱き締めてやりたくなりました。
あのときは本当に嬉しかったです。
しばらく立ち上がることすらできないぐらいでした。
その時点で既に複数の私立医学部に合格していましたので、浪人はありませんでした。
第一志望校が不合格でも私立医学部に進学する予定でした。
それで十分だと思いました。
私にとって息子の大学受験は、その合否に関わらず、息子の成長を目の当たりにできた最高の機会でした。
私は本番に物凄く強いタイプです。
これまでの人生においても、幾度となく実感することがありました。
対して息子はダメだと思い込んでいたのです。
本番で力が出せない人間だと決めつけていたようです。
ホッとしました。
息子がベストを尽くせたことによって私もそれなりのサポートができたんじゃないかと思えるようにもなりました。
これで息子も私も、たとえ私立医学部に進むとしても十分納得して胸を張って入学できると思いました。
満足感が半端なかったです。
結果として第一志望校に合格できましたので、喜びは増しましたが、私たち親子の大学受験は、第一志望校の一次試験の日に事実上終わったのです。
何よりも嬉しい出来事でした。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。