振り返りの医学部受験

何年か前に息子が医学部受験を経験しました。受験中は何がなんだかわかりませんでしたが、今だからこそ「ああなるほどなあ」と思うところがあります。

勉強の場所

受験勉強をする場所については色々と意見があるようですね。


これは人それぞれなのかも知れません。


息子が中学受験の際には、リビングで勉強していました。

というか、中学に入るまでの勉強はほとんどがリビングでしたね。


親が教えるか否かは別にして勉強の場所は常にリビングでした。


従って、息子が勉強している間我々がテレビを見ることはありません。


中学に入ってからは、自分の部屋で勉強していました。

リビングに来るのは休憩を取るときだけです。


息子が勉強する場は、高校の教室(高校の図書館には全く行きませんでした)、予備校の教室(自習室はありましたが行ったことがないと思います)、塾、自宅の自室のみです。


自宅の自室で最も集中できたそうですので、他の場所を探す必要がなかったようです。

家にいると勉強できないといったことを聞いたことがありません。


息子の自室というと、私たち夫婦の普段の生活空間と少しばかり離れており(長い廊下があります)、息子のプライバシーは十分守られていました。


息子の自室は、息子が大学に入ってからもそのままにしており、家内がたまに自分の勉強のために利用しているようですが、我が家で最も広くてしかも集中できる部屋だと言えます。


先程、息子の無人の部屋をちょっと覗いて見ましたが、今でも集中できそうです。


息子が勉強していた頃のこと、彼が部屋からなかなか出てこなくて、一体どうしているんだろうと気になって、極稀に声がけをすることがありましたが、大概の場合は、これでもかと言うぐらい集中していました。


息子は、「えっ、どうしたの?」

といった反応でしたね。


私は、95%位はオフィスで仕事をし、たまに電車やタクシーの中、極稀に自宅で仕事をすることがありますが、余り場所を選ぶことはありません。


私も息子も仕事や勉強で場所を選ぶタイプではないということです。


どうしてそうなったかというと、メインの場である仕事場や自室の環境設定に成功しており、他の場所を設定する必要がなかったいうことでしょうね。


それから、場所を選ぶことなく集中力を高めるノウハウを身に付けていたということでしょうね。


こう言ってはなんですが、息子が私より勉強ができたとは思いませんが、勉強する際の集中力については私に対して圧勝だったと思います。


時間的・労力的に面倒がない場で勉強に集中できることが最も望ましいと思います。


場所の移動を必要としたり、人の監視がなければ集中できないというのは、今後社会人として自立していくにおいても支障となりそうですね。


個別具体的なお話となりますが、息子が自宅の自室中心にやれたのは、

・自室そのものが快適空間だった。

・他の家族の生活空間と適度に離れていた。

・家内が息子に対して適度に距離をおいていた。

ことが影響していたのではないかと思います。

親が気持ちを整えることの重要性

私は所謂一家の支柱です。

これまで、そして、これからも泰然自若としているのが私の役割だと思っています。


特に息子が受験生であったとき、一家の支柱である私がいつも冷静で、ときには洒落た冗談を言って家族を笑いで包むことを意識的に行っていました。


そのためには、まず、私にストレスが溜まっているようではダメです。


意識してストレスを溜めないようにしていました。


あの頃は、息子のために、妻のために、ストレスを溜めないようにしていましたので、結構目的意識がありましたね。


人間目的があるとなんとでもなるものです。


その意味では、今の方がストレスの発散に難渋することがあります。


やはり、目的がある人や守るべきものがある人は強いですよね。

なんのために頑張るか

医学部受験をされる方は当然のことながら医師になるためにがんばっておられることと思います。


ただ、これがなかなか大変なのです。


医師になるためにというだけではなかなか続かないのです。


私のような長年社会人をやっている人間でも、モチベーションを維持することは大変です。


お金を稼ぐため、自分の成長のため、といった理由だけでは仕事を続けることができません。


これが家内のため、息子のためと思うことができるから続けることができています。


家内や息子を重荷に感じているわけではないのです。

むしろ家内や息子が私の生き甲斐です。



しかし、よくよく考えてみれば、受験生にとって、それほどの存在があるはずもありません。


受験が終わった後、息子に聞いてみたことがあります。

「君は、どうしてあれだけ頑張れたんだろうね。」


息子の答えは、

「やっぱりどうしてもお医者さんになりたかった。」

「それに父さんや母さんが黙って背中を押してくれているのに応えたかった。」

「何も言わず見守ってくれている父さんや母さんには感謝しているよ。」

「父さんは本当にボクのことをよくわかってくれている。」

でした。


随分痩せ我慢をしながら息子に対して静かな声援を送っているつもりでしたが、息子もそれなりに感じ取ってくれていたようです。

とても嬉しいです。


何ほどのことができたかはわかりませんが、息子の足を引っ張ることだけは避けることができたのではないかと思います。


その感謝の表れなのでしょうか。

大学に入ってからの息子は、より一層私たち夫婦に優しく接してくれるようになりました。

とても嬉しいです。笑