振り返りの医学部受験

何年か前に息子が医学部受験を経験しました。受験中は何がなんだかわかりませんでしたが、今だからこそ「ああなるほどなあ」と思うところがあります。

受験システムの多様化がもたらすもの

ここ数年を見るだけでも、受験システムの多様化が見られます。


国公私立の一般枠に始まり、推薦、地域枠、診療科目枠、センター利用、センター併用、国際枠等様々なパターンが生まれています。



まず言えるのは、受験可能なパターンが増えたことで、受験生一人当たりの総額受験料が増えたことです。

1校に出願した場合もいくつかのパターンで申し込むとそれだけ費用がかかります。


センター利用の場合は大学にそれほど負担がかからないはずですが、それでも何万円かは要します。


併用の場合は、やはり大学特有の試験を受けるので一見大学に手間がかかっているように見えますが、併用の出願者は別に一般でも出願していることがほとんどですから、やはり大学に特別の負担はかかっていません。


一般の合否と併用の合否は近似すると思います。

従ってさほど出願の意味がありません。


センター利用は9割以上取れる自信のある受験生が出願すべきものです。

そして、9割取れるなら国公立に合格する可能性が高いと言えます。


ということは、少なくともセンター利用・併用は一部の受験生の安心材料とはなりますが、進学先の決め手とはならないと言えるでしょう。


受験料は大学の資金源の一つです。

消費者としては冷静に選択したいものです。



とはいえ、受験システムの多様化によって、試験の一発勝負性が緩和され、また、経済的に恵まれていない受験生のチャンスが多少アップしていることは否定できません。


他方、多様な受験パターンがあることから、数打ちゃ当たる式が妥当するように錯覚する嫌いがありますが、事情は全く逆です。


合格できる力があるのに一度のチャンスをものにできなかった受験生にやさしいだけてあり、数打ちゃ当たる式の受験生にはより一層まぐれはなくなったと言うべきでしょう。