振り返りの医学部受験

何年か前に息子が医学部受験を経験しました。受験中は何がなんだかわかりませんでしたが、今だからこそ「ああなるほどなあ」と思うところがあります。

知識は多ければいいものなのか

知識は多ければ多いほどいいと言えそうですが、こと受験に限って言えば、必ずしもそうとは言えないように思います。


例えば数学の問題を解く際に、類似問題の解法を丸暗記していた場合、目先の問題は解けます。
しかし、少しひねられると解けないことがあります。


対して、最小限の知識しかないものの思考力に優れる人は、ひねった問題にも対処できます。


知識獲得に力を入れすぎると典型問題にしか対応できません。
応用力のある人は、視野が広くなりますし、この力は、大学に入っても、社会人になっても十分使えます。


現役生で知識が不足しているのに合格する人がいます。
こういった人は、知識不足を思考力(応用力)で埋めているような気がします。


東大理3や慶應で現役合格者が多いのは、時間をかけて知識を増やした受験勉強期間が長い受験生より、知識は少ないが卓越した思考力を持つ現役生にとって有利なのかもしれません。


臨床医としては何とも言えませんが、研究者としては後者の方が向いていると思います。


誤解がないように申し仕上げますが、勉強をする過程で結果として知識がつくことは問題ありません。
問題なのは、考える作業を怠って、知識獲得を第一にしてしまうことです。
そんなことをすると思考力や解決力がどんどん低下していきます。